2018年11月26日〜30日と12月3日〜7日の期間限定で、分身ロボットOriHimeを開発したオリィ研究所が日本財団などの協力を得て、分身ロボットカフェDAWN ver.βが開催されました。
ロボットがコーヒーをサーブ
このカフェの最大の特徴は、店員がすべて分身ロボット「OriHime-D」で、それらを遠隔操作しているのが寝たきりや難病などで外出することが困難な重度の肢体不自由者人です。

分身ロボット「OriHime-D」を操作する人はパイロットと呼ばれ、ALSやSMAや頸椎損傷などの障がい者(10代が10名、男女各5名の20〜40代の人)が雇用されました。

パイロットの居住地域は東京、埼玉、愛知、岐阜、三重、島根と多岐に渡っています。

その中のお一人高野元さんがご自身のブログで、その時の様子を分身ロボットカフェDAWN βでウェイターをやってみましたというタイトルで寄稿しておられます。

高野元さんの了解を得て、ブログの投稿文を引用させていただきます。


ほとんどの人は、重度障害者は働けないと思い込んでいます。

その思い込みが社会通念となり、多くの障害者が自分も働けないんだと思い込まされています。

しかし、働けないのは効率を最大限追求した社会システムに、我々ができる仕事がないだけなんだと、私は考えています。

テクノロジーというか技術革新は、いつの時代も人の能力を拡張して社会を進化させてきました。

この10年で働き方は効率重視から、働き手の心の安定に重きを置くようになりつつあります。

この変化の延長にあるさまざまな試みの一つである、この分身ロボットカフェがきっかけとなって、重度障害者の就労が議論されるようになってもらいたいものです。

特別支援学校の教員をしているSamにとって、子どもたちが学校を卒業した後の暮らし方をいつも考えながら教育活動に携わっています。

現任校に限らず、日本の特別支援学校(肢体不自由)に在籍している児童生徒の多くが、重度・重複障害と評価(診断?)されている子どもたちです。
その多くは、卒業後の進路先が生活介護事業所です。
なかには、知的能力が高いにも関わらず「肢体不自由が重度である」「頻繁な医療的ケアが必要である」などの理由で、その能力が充分に活かされていないケースもあります。

今回の分身ロボットカフェDAWN ver.βのように、知恵とテクノロジーが、彼らの進路をこれまでとは違う方向に進めるきっかけになれば良いなぁと思います。