2018年12月25日(火)、高知県立高知若草養護学校土佐希望の家分校の職員研修会に呼んでいただきました。

朝9:15から始まるという日程でしたので、ATM56セミナーが開催された名古屋市から高知市に前日入りし、教頭先生の送迎で高知県立高知若草養護学校土佐希望の家分校へ。
希望の家分校の玄関
高知県立高知若草養護学校土佐希望の家分校社会福祉法人土佐希望の家医療福祉センターに隣接した学校です。
社会福祉法人土佐希望の家医療福祉センターは、元競輪選手の山崎勲氏が昭和41年6月、私費で土佐山田町に開設した重症心身障害児施設で、そこに入所している子どもたちや近隣に住んでいる子どもたちが高知県立高知若草養護学校土佐希望の家分校に在籍しているそうです。

天井が高く設計された玄関のすぐ横にはe-AT機器の部屋が!
整理棚にe-AT機器が保管されていて、誰でもすぐに使えるようになっていて使い勝手が良さそうでした。
希望の家分校にあるAT教材室
研修会は、2人の子どもさん(小学部男子児童と高等部女子生徒)へのコミュニケーションに主眼を置いた事例の発表があり、それにSamがコメントした後に講演という流れでした。
希望の家分校での研修会会場
1つ目の事例は、中枢性運動障害に起因する四肢まひ(臥位レベルの運動発達)のある小学部男子児童。
「う〜ん」という発声や表情の変化という表出は見られるのですが、その意味が分かりにくい子どもさん。

客観的に対象児を理解するためにOAK Camのモーションヒストリー機能とビデオ録画を利用して、外界からの働きかけ(外付けスイッチに入力して音楽が聞こえる、教員による話しかけ、揺れ遊び)に対する反応を分析して、対象児の意思を理解しようという取組でした。
希望の家OAKCam分析
聞くところによると、香川県立高松養護学校教諭の佐野将大さんを招いた研修会がきっかけになって、OAK Camを活用しているとのことでした。
佐野将大さんの研究については、こちらで読むことができます。
 ↓ ↓ ↓
モーションヒストリーを用いた重度重複障害児の実態把握の取り組み~エピソードを確認してアプローチに活かそう~

事例発表の後にコメントを求められ、以下のことをお話しさせていただきました。


OAK Camのモーションヒストリーは、外界からの働きかけに対する対象児の表出を客観的に評価するツールとして活用できます。モーションヒストリーと動画によって得られる情報の中に対象児の得意な動きが含まれます(左上肢を動かしていました)ので、それを活かして「お得なこと」をたくさん経験する学習と併せて、その得意な動きでVOCAやVOCAアプリを操作して音声による意思表出に繋げる取組に期待します。

OAK Camはモーションヒストリー以外に、USB 4chリレーボックスを組み合わせて「どこでもスイッチ」を作って、パソコンのクリック操作や外部機器のON/OFFもできますので、それを活かした学習もできそうです。

OAK Camはパソコンが必要なので、モーションヒストリーを記録するだけならiPhoneアプリiOAKの方が手軽です。

④とても丁寧にまとめた資料なので、どこかの研究会や関連誌などで発表すると参考になる方は多いと思います。


2つ目の事例は、SMA(=Spinal Muscular Atrophy 脊髄性筋萎縮症)に起因する四肢まひのある高等部女子生徒で、Tobii社のPCEye Exploreを利用して視線入力で意思を伝達する学習の取組でした。

島根大学の伊藤史人さんがプロデュースしておられる視線入力練習ソフト【EyeMoT 3D】シリーズも学習に利用されていて、その中の【EyeMoT 3D_Game 01(通称:射的)】を使ってディスプレイに◯✕を表示して、質問に対して視線で答えてもらうという学習に取り組んでおられました。

事例発表の後にコメントを求められ、以下のことをお話しさせていただきました。


Tobii PCEye Exploreの不具合が多いので、Tobii PCEye miniTobii Eye Tracker 4Cに取り替えることをオススメします。

②子どもに限らず人は「お得なこと」が無いと意欲がわかないものです。現在、眼球を動かすことができていますので、その動きを活かして「お得なこと」をたくさん経験させ、そのふり返りに【EyeMoT 3D_Game 01(通称:射的)】を使うのも一つの方法かも知れません。

視線入力練習ソフト【EyeMoT 3D】シリーズ以外にもSOUNOS VALKATux Paintのように視線入力で演奏や描画ができるアプリもありますし、BlueStacksでAndroidアプリが利用できるPC環境を作れば、Android版知育アプリなどで楽しめることが増えそうです。

質疑応答&協議の時間が長くなってしまい(その大半はSamの質問とコメントでした)、講演の時間はほとんど無くなりましたが、意思を表出・伝達手段を用意することと併せて「お得なこと」をたくさん提供することを重ねてお話しさせていだきました。
発想の転換が重要
お得なことが意欲の向上につながる