atacLabさんのAACオンデマンド第7弾が公開されました。

タイトルは知的障害・自閉症のある人とのコミュニケーションです。

東京大学先端科学技術研究センターの中邑 賢龍さんが、「知的障害や自閉症の人たちとのコミュニケーション」について、シンボル・コミュニケーション(音声言語や文字が十分に理解できていないくても、写真やシンボルを理解できるならどれを用いる)やVOCAを使ったコミュニケーション(写真やシンボルを貼ったスイッチを押せば音声を出力する機器を利用する)、さらにはコミュニケーション・エンジニアリング(コミュニケーションの場面を設定し、そこに必要なシンボルや写真を準備することによって、会話のシナリオが分かりやすくなり機能的会話も学習できる)といった【表出の支援】と【理解の支援】という観点から解説しておられます。

メモのため、プレゼンで表示された文言をもとに記録しておきます。

【表出の支援】
《シンボル・コミュニケーション》
◯シンボルや写真を指し示すことが自分の意思として相手に伝わることを理解している必要がある。

実物をどのように写真やシンボルに置き換えるか?・・・課題
シンボルを使うと便利で楽しい事態を設定する・・・上記課題を解決する一方法

◯使えるようになったシンボルや写真が増えたら、それらのカードを綴じて、あるいはボードやノートにして使う

◯それらをVOCAに登録すれば音声としても出力できる

《VOCAの種類》
◯シングルスイッチのVOCA 導入用

◯固定式のスイッチを持つVOCA

◯タッチスクリーンを持つVOCA→シンボルを構造化して多くのシンボルや写真を登録可能

◯スマホやタブレットのアプリ

《コミュニケーション・エンジニアリング(設計)》
◯言葉を機能的に使えるようにする

◯場面を限定したシンボルや写真の選択
例:食事の時に「もっと欲しい」「もういらない」「美味しい」「不味い」などの言葉を選択

◯シナリオの準備
話者が準備したシンボルや写真を指し示す機会を生み出すように会話を展開

【理解の支援】
《話し方を変える》
言葉の理解に困難がある場合は、ワーキングメモリや注意の配分に困難さがある場合がある。
難しい言葉を聞いて考えている間に話題が変わってわからなくなる人がいる。
区切って話す、分かりやすい言葉を使うなどの工夫が必要。

《場面や話題を限定する》
限定された中では、使われる言葉も限られ予想しやすい。

《シンボルや写真など会話を想起できるツールを用意しておく》

【まとめ】
◯言語発達に遅れがあってもシンボルや写真を活用することでコミュニケーションできる部分がある

◯シンボルや写真を使う意味を理解していなければ、それを提供してもすぐには使えない

◯コミュニケーションする場面を設計し、その中でコミュニケーションを学ぶことができる。

Samの講演でよくお話しさせていただく「コミュニケーションする力を伸ばすには、コミュニケーションツールの提供だけではなく、コミュニケーションする機会を提供することが大切だと思います」「コミュニケーションしたいなと思うような【お得】な活動を仕組んでみましょう」の原点はココにあります。

atacLabさんがアップされた過去6本の動画は、以下のブログ記事で紹介しています。

2019年4月16日のブログ〜【必見】支援技術とは...を語るYouTube動画
2019年5月1日のブログ〜【必見】AACとは...を語るYouTube動画
2019年5月30日のブログ〜【必見】障害の理解...を語るYouTube動画
2019年6月29日のブログ〜【必見】支援者として必要なコミュニケーションの基礎知識...を語るYouTube動画
2019年8月1日のブログ〜【必見】言語障害はあるが言語理解はあり指差しや視線が使える人とのコミュニケーション...を語るYouTube動画
2019年8月30日のブログ〜【必見】Yes/Noコミュニケーション...を語るYouTube動画

いずれも、障害者支援に携わっておられる方にとっては参考になると思います。
ぜひ一度ご覧になってみてください。