去る2021年9月15日(水曜日)と同年9月16日(木曜日)に【第18回障害児・者と支援者のためのe-AT活用オンラインセミナー】を開催しました。
テーマは、視線入力で因果関係を学習しよう②〜WindowsPC用視線入力練習アプリEyeMoT 3D Game_00「風船割り」を利用して
風船割り210723版トップ画面
9月15日(水曜日)は11:00〜12:00のセッションに5名、20:30〜21:30のセッションに12名、9月16日(木曜日)は10名の計27名の方々に参加していただきました。
この場をお借りして御礼申し上げます。
210915AM参加者スクショ
210915PM参加者スクショ
210916PM参加者スクショ
EyeMoT 3D Game_00「風船割り」は、パソコン画面に現れるターゲットにマウスポインターを移動させて撃ち落とすというゲーム要素のあるアプリです。
マウスポインターを移動させるには、マウス・トラックパッド・トラックボールといったポインティングデバイスを操作する以外に、Face Tracking(「Head Tracking」とも呼ばれ、顔を動かすだけでマウスポインターを移動させる技術です)やEye Tracking(=視線でマウスポインターを移動させる技術で一般的に「視線入力」と呼ばれます)といった手を使わない入力でもOKです。
視線入力で行えば、《注視》や《追視》の力を伸ばし、視線入力による因果関係を学習するのにピッタリのアプリです。
星&炎のAttention利用
セミナー当日は、EyeMoT 3D Game_00「風船割り」ポランの広場からダウンロードした後に解凍するところからスタート。
EyeMoT 3D Game_00「風船割り」を起動すると、下図のようなスタート画面が表示されます。
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風船割りのスタート画面
上図の①〜⑦のアイコンやマークは、以下のような意味です。
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① Switch Mode=パソコンのキーボードにあるスペースキーの押し下げやマウスの左クリック入力でビーム砲を発射するモードです。
WindowsPCゲームで使えるジョイパッドの特定のキー入力でもビーム砲を発射することができます。
発射台の向きを変えるのは、マウスのようなポインティングデバイスまたはハンズフリー入力(視線入力やHead Tracking入力)で行います。

② Record=ゲーム中の様子を録画することができます。
録画された動画はYOUR_RECORDフォルダに保存されます。
ゲーム終了後に動画が作られますので、パソコンのメモリ容量が少なかったりCPUのスペックが低いと処理に時間がかかりますので注意してください。

③ 視線入力のON/OFF切り替えスイッチです。
パソコンのキーボードにある[X]キーの押し下げでも視線入力のON/OFF切り替えができます。

④ ゲームの設定を変更するスイッチです。
風船割りの設定画面-Game
《Difficulty》は難易度の設定です。
数値が低いと易しく、数値が高いと難しくなります。
ターゲットの中心から離れた位置を見ても撃ち落とせる状態が「易」で、逆に中心に近い位置を見ないと撃ち落とせない状態が「難」になります。
どの程度難しいかは、ゲーム中にキーボードの[D]キーを押すと半透明の円が表示されますので、それで分かります。
《Target Size》は、ターゲットの大きさの設定です。
数値が低いとターゲットは小さくなり、数値が高いとターゲットは大きくなります。
《Num of Target》は、画面に表示されるターゲットの数です。
《Dwell Time》は、ターゲットを撃ち落とすまでに見続ける時間(秒)の設定です。
《Game Time》は、ゲーム時間の設定です。
風船割りの設定画面-Display
《Appearance》は、画面上のターゲットをどのように表示するかの設定です。
「Float」はターゲットが浮遊し、「Fix」はターゲットが浮遊せずに固定されますので、ちゃんと見る必要があります。
《Generate》は、画面上に表示するターゲットの個数です。
「Single」を選べば、ターゲットは画面上に1個だけ表示されます。
《Target》は、画面上に表示するターゲットを変更する際に使う設定です。
「Puyo(Turn Around)」は向こう側を向いたPuyoが表示されますが見つめるとこっちを向く設定です。
「Puyo(Front Face)」はこちら側を向いたPuyoが表示されます。
「Balloon」は単色の風船が表示されます。
「Image Circle」はYOUR_RESOURCESフォルダに保存された画像をターゲットにする設定です。
《View》は、画面に表示される視覚情報をON/OFFする設定です。
子どもたちの中には、画面に表示される砲台(Shooter)、残り時間や撃ち落としたターゲットの数などの数字&文字(Text)、背景画像(Background)、背景画像のスクロール(Horizontal Scroll)に気を取られる場合がありますので、各種設定を適宜ON/OFFすることで画面に集中しやすくなります。
風船割りの設定画面-Interaction
《Interaction》は、撃ち落とした時の視覚効果です。
《Attention》は、支援者が撃ち落とさせたいターゲットの視覚効果と数を設定することができます。
《Dwell Attention》は、見続けている間の視覚効果です。
Dwell Timeが0.3秒のように短いと変化を感じにくいですが、1.5秒以上であればターゲットの視覚効果が分かりやすいと思います。
それぞれの視覚効果は《Sample》で確認できますので、子どもたちの実態に応じて変更すると良いでしょう。

⑤ BGMや効果音(Sound Effect)の音量を調整するスイッチです。
風船割りのSound設定画面

⑥ Player Name=プレイヤーの名前を変更することができます。
10人まで登録することができ、その人専用の設定が保存され、履歴もYOUR_RECORDフォルダ内の専用フォルダに保存されます。
なお、プレイヤーの名前を変更することはできません。

⑦ EyeMoTボックスが接続されているかどうかが分かるメニューです。
※ EyeMoTボックスが接続されていなくてもゲームはできます。
上記内容を説明した後、フリータイムを設けて参加者各自で設定を変更しながら試していただきました。
210915PMフリータイムのスクショ
各種設定を変更することによって、子どもたちの視機能や認知機能をアセスメントすることができるようになります。
その時に役立つ機能が、視線履歴の表示でしょう。
そこで、フリータイムの後にマウスポインターの移動履歴をアニメーション表示する機能をもつEyeMoTゲームビューワを紹介しました。
EyeMoTゲームビューワは、EyeMoT 3DシリーズのYOUR_RECORDフォルダに生成されるCSVファイルをドラッグ&ドラップするだけという簡単な使い方です。
ゲームビューワーで表示した視線履歴
上記②RecordをONにしてゲーム中の様子を録画しておけば、動画の状態でマウスポインターの移動履歴(視線入力を使った場合、視線の履歴)を見ることが可能になります。
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ゲームビューワで表示した風船割りの履歴
EyeMoT 3D GAME_00「風船割り」を利用する場合、EyeMoTゲームビューワと併用することでアセスメントがしやすくなると思います。
アセスメント(=評価)というのは、あくまでも子どもたちをはじめとしたユーザーの力を支援者が知るための指標であり、より良い支援に結びつけるものだと思います。
特別支援教育の教員などの支援者にありがちですが、ユーザーが楽しめないほどに難易度を上げるのは本末転倒だと思います。
ユーザーが今持っている力で遊べるゲームというのが、EyeMoT 3D GAME_00「風船割り」の開発コンセプトです。
ユーザーが楽しむことを第一義にしてやることを私たち支援者は忘れないようにしてほしいと思います。