今年度から文部科学省の委託事業を手伝っている関係で、2022年4月26日と27日の二日間、三重県在住の肢体不自由児のe-AT活用に関するコンサルテーションに行ってきました。
備忘録として書き記してみます。
4月26日は、教科学習を進める上で教科書を読んだり文字を書くことに困難さのある高校1年生Mさん(特別支援学校高等部在籍)の教室とご自宅を訪問。
今回のケースは、いつもお世話になっている皇學館大学教育学部教授の大杉 成喜さんに保護者&学校から依頼のあった相談です。
Mさんは上肢の運動機能に障害があるため、教科書をめくったり筆記具で文字を書くことに困難さがあります。
そこで、視線入力とアクセシビリティスイッチ入力を利用して、デジタル化した教科書を利用することや文字をタイプすることができないかと考え、そのフィッティングに伺いました。
デジタル化した教科書は入手するまでに時間がかかるので、お世話になっているKazuhisa Yamamotoさんにお願いして音声教材を作ってもらい、午前中に準備。
視線入力環境の設定をする大杉さん
Mさんが在籍する学校に持ち込んで、教材へのアクセスが可能かどうかを試してもらいました。
Kazuhisa Yamamotoさんに作ってもらった音声教材を表示したWindowsPCの画面はコチラです。
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音声教材のトップ画面
音声教材ごんぎつね
視線マウスアプリmiyasuku EyeConシリーズで視線入力ができるようにレイアウトを工夫してもらっています。
画面に表示されているアイコンにマウスポインタを移動させてクリックする(=視線入力のみの場合、視線を停留させます)と音声教材を読み上げる仕組みになっています。
視線入力で音声教材を読むMさん
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同行してくれた大杉研究室のゼミ生と一緒に音声教材を試すMさん
MさんはCVIもあるようで、クリックするために視線を停留する(=「滞留」とも言います)ことができなくはないのですが、時間がかかりました。
そこで、アクセシビリティスイッチでクリックできるように設定してみました。
その際、学校にあった上肢操作補助ツールMOMOを利用してみたところ、アクセシビリティスイッチへの入力がしやすくなり本人も大満足!
MOMOを利用してスイッチ入力するMさん
続いて、文字をタイプするためのスクリーンキーボードに視線とアクセシビリティスイッチへの入力をお試し
視線入力とスイッチ入力で文字タイプするMさん
「これなら勉強しやすくなる」と言ってくれたMさんは、大学進学も視野に入れて学習に取り組んでいる頑張り屋さんだそうです。
このセットを利用することで、学習効率がアップするのではないかと思いました。

そして、夕方からはMさんの自宅に出向いて、昼間の様子を再現。
保護者と訪問リハの担当PTに見ていただきました(写真を撮り忘れてました)。
今後は、学校の担当教員や訪問リハ担当PTにパソコンと入力方法の設定を身につけてもらう必要がありますし、Mさんが必要とする音声教材を充実させる必要があると思いますが、一歩前進したのではないかと思います。
4月27日のことは、また後日...