2022年11月14日(月曜日)と15日(火曜日)の2日間、南九州地方にあるF特別支援学校からの依頼で、4人の子どもさん及び2つの学習グループの計6ケースと担当教員のe-AT活用に関するコンサルテーションに行ってきました。
備忘録として、また、該当校の皆さんに振り返っていただくため、数回に分けて書いていきたいと思います。
F特別支援学校
まずは、小学2年生Aさんのケースです。
Aさんは、肢体不自由と知的障害を併せ持っている子どもさんですが、目的の場所(教室やトイレなど)に1人で歩いて行けますし、簡単な指示言葉を理解して行動できます。
下写真は、担任の先生から「◯◯はどっち?」という問いかけに対して、左手でポインティングして答えている様子です。
イチゴはどっち?
右半身の麻痺が強く、その影響は見え方にも及んでいるそうで、右側の視野が狭いと評価されています。
そこで、ゲーム用の視線追跡装置Tobii Eye Tracker 5と島根大学の伊藤 史人研究室で開発されているWindows用入力練習アプリEyeMoT Sensoryを使って、ターゲットを見る学習に取り組んでおられました。
EyeMoT Sensoryで見る練習
AさんはEyeMoT Sensoryがとても好きだそうで、毎回の学習で使うのを楽しみにしているとのこと...
いわゆるビジョントレーニングとして視線入力を活用しようということですが、学習中のAさんを見ると本当に楽しくパソコン画面を見ていました。
楽しみながら学習できる環境というのは大切ですね。
担任の先生が「ゲーム後の視線履歴を見ると、苦手だと思われている右側もよく見るようになってきているんです」と言いながら、画面をスマートフォンで撮影しておられたので、視線履歴が自動保存されるフォルダの場所とその見方を説明しました。
視線履歴が保存されるフォルダ
上写真のYOUR_RECORDフォルダをダブルクリックすると視線履歴が保存されています。
 ↓ ↓ ↓
視線履歴が表示されたフォルダ
特に、ヒートマップ表示された視線履歴を撮りためておいて、週間単位や月間単位で評価すると変容が分かると思います。

一方、Aさんは母音を発することはできますが、発語はありません。
担任の先生としては、「内言語はあるので、自ら意思が伝えられるような工夫をしたい」という願いを持っておられましたので、「自発的なコミュニケーション(特に意思伝達)に発展させていくために、教室にあるビッグマックなどのVOCAやiPadのVOCAアプリDropTap などを活用して、意思を伝える(=コミュニケーションする)機会を作ってみてはいかがでしょうか」とお伝えしました。
例えば、保健室に健康観察簿を届けに行く、朝の会&帰りの会の司会、授業の挨拶、といった場面でVOCAやiPadのVOCAアプリを活用することによって、コミュニケーションする機会が広がると思われます。
放課後の振り返りタイムに保健室の先生も参加されていたのですが、「さっそく明日から保健室のドアを開けておいて、Aさんが来室された時に応対していきます」と言われたので、今後の展開が楽しみですね。
VOCAで保健室に用件を伝える
今日のところはココまで...