2023年12月13日(水曜日)、宮崎県教育委員会の指定【未来を拓く!特別支援学校「自立と社会参加」推進事業 ICT を活用した授業に関する研究】による学校研究に取り組んでいた宮崎県立日向ひまわり支援学校の研究発表会が開催されました。
研究公開資料の表紙
昨年度からe-AT活用のコンサルテーションで何度も伺っていた関係で参加してきましたが、以前伺った時に「高等部の生徒たちの中には企業就労を目指している子もいるはずですから、知らない来客者に挨拶する絶好の機会ですから、受付させてみればイイですよ」と話していたところ、数名の高等部生が受付で待ってくれていました。
玄関での受付に高校生
受付してくれていた生徒さんの中には、Samを見つけて「知ってる!前、来てましたよね」と覚えてくれていた子もいて嬉しかったのですが、隣に張り付いている教員からコッソリ「言い方が違うんじゃない?」と話しかけられて「あっ!そうだ!おはようございます。前、来てくださいましたよね。iPadのことを教えていただき、ありがとうございました。」と言われ、こちらが恐縮してしまいました。
さて、学校研究のテーマは「主体的・対話的で深い学びを実現する学習指導の工夫と改善~ICTによって効果的・効率的にデザインされた授業づくり〜」ということで、案内された校長室の掲示板に見慣れた人のポスターとともに研究の足跡が貼ってありました。
校長室の掲示板
当日は4本の授業公開と実践発表【視線入力装置を活用した実践事例「リ・デザインで生徒のデキるとデキたを形に】、ポスター発表、講演が行われ、Samは実践発表の指導講評を依頼されました。
研究公開日程
授業公開①の小学部3年教室には、子どもたちが見て分かる工夫が随所に見られました。
話を聞くあいうえお
声のものさし
これらの視覚的支援グッズは、知的障害特別支援学校や知的障害特別支援学級で見かけることがありますが、ついつい教師目線の位置に貼ってあるところが少なくありません。
ところが、こちらの教室では子どもたちの目線の高さに合わせて貼ってあり、伝言ゲームの活動の際、担当教師が「声の大きさはアリさんだよ」と言った時、ある男の子がサッと「こえのものさし」カードのところに走って行って確認してから席に戻って小さな声で隣の子どもに耳打ちしていました。
きっと、普段からやっていることなんでしょうね。
授業公開②では、アナログで作ったマークを見ながら、iPadアプリ【フリーボード】を使ってデジタルで自分のマークを作っていました。
中学部数学の授業
移動時間の関係で、授業公開③は導入部分だけしか見学できませんでしたが、授業公開④ではSNSで投稿してはいけないNGワードに気づかせる学習が展開されていました。
高等部職業の授業01
今の時代、障害の有無に関係なくスマートフォンを持っていますし、日向ひまわり支援学校の高等部生徒は特別支援教育就学奨励費でiPadを持っています。
そんな彼らの興味の一つに、InstagramやX(旧Twitter)といったSNSがあります。
兄弟姉妹や小中学校時代の友達(なかには地元の小中学校に在籍していた子もいます)がやっているSNSですから、それを避けて通るわけにはいきません。
むしろ、「正しい使い方を学ぶ機会は学校に在籍している間しかありません。WordやExcelの使い方よりも、まずはスマートフォンやタブレット端末を使いながら、SNSの正しい使い方を高等部では教えておかないといけませんよ。」と以前お伺いした時にアドバイスしていたことが具現化されていました。
高等部職業の授業02
この授業でもう一つ特筆すべきことは、体調や精神的な影響によって授業が行われている教室に入れない子が別室からオンラインで授業に参加していたことです。
SDGsが掲げる理念「Leave No One Behind(誰一人取り残さない)」が実行されていたことに感服しました。
別室からオンラインで授業参加する工夫
授業公開の後の実践発表は、高等部訪問学級生が取り組んだ視線入力を活用した自立活動の指導に関する内容でした。
実践発表
発表されたO先生の教え子Yさんが描いた絵は廊下の掲示板にデカデカと飾ってありました。
Yさんの作品
その絵で作ったヘアゴムは参加者へのお土産として配られていました。
お土産
講評中の様子
日向ひまわり支援学校には知的障害児と肢体不自由児が在籍していますが、それぞれの子どもたちの実態と将来像を考えて学習目標を決め、その内容を選定しておられます。
これは当たり前といえば当たり前なのですが、それができていない特別支援学校が実は全国にはたくさんあるのです。
その学習内容を実施するためには方法を工夫しなければなりません。
その方法の一つとして、GIGAスクール構想で宮崎県教育委員会が県立特別支援学校に配備したiPadをはじめとしたICT機器があるのだと思います。
その目的と手段が明確になっていますので、日向ひまわり支援学校が取り組んだ研究の目的は果たせたのではないかと思っています。
その考えが全校的に浸透していて、まるで空気のようにICT機器が普段使いされている特別支援学校は全国的にも珍しいというのがSamの実感です。
それが今後続いていくかが次なる課題ですね。
なお、当日の様子は夕刊デイリー新聞社の12月18日付けWeb版でも紹介されていますので、よかったらご覧ください。
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ICT活用の授業を公開(該当のWeb記事へ)
夕刊デイリーの記事スクショ
また、2024年1月7日(日曜日)9:50〜10:00にオンエアされるUMKテレビ宮崎の番組のびよ!みやざきっ子で当日の様子が放映されるそうです。
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