いつもお世話になっている帝京大学教授の金森 克浩さんからの依頼で、2024年5月9日(木曜日)に教育学部の学生さん向けに講義(Zoomによるオンライン)をさせていただきました。
テーマは、【障害児(肢体不自由)の心理〜肢体不自由児の事例から心理的傾向を理解する】です。
まず、Samがe-AT活用に取り組むきっかけとなったYさんのことを動画で紹介。
アテトーゼ型脳性まひによる重度の四肢麻痺と言語障害があるため、Yさんはコミュニケーションや学習に必要な表出面での困難さがありました。
特に、しゃべったり書いたりしても相手に伝わらないことがストレスとなり、心因性の円形脱毛症や胃潰瘍になったYさんは中学生の時、不登校になってしまいました。
そこで、周囲の大人は「彼女がコミュニケーションできるようになるため、誰にでも伝わるような意思伝達手段を身に付けさせよう」としてきました。
Samは、彼女の得意な動作に反応するアクセシビリティスイッチでパソコンに表示したスクリーンキーボードにスキャン入力するシステムを提供...
MSXパソコンで文字をタイプするYさん
音声合成装置も使って文字や音声での意思表出手段は構築できました。
三週間ほどで使い方を覚えたYさんに「今日からの授業では、自分が好きなことを書いていいよ」と言ったのですが、彼女から返ってきたのは「書きたいことが無いっちゃん」という言葉でした。
重度な肢体不自由がある彼女は常時受動的な存在だったため、言いたいことや書きたいことといった意欲が低く、話す手段や書く手段だけがあっても良いというわけではないということをお伝えしました。
コミュニケーションのメカニズム
次に、肢体不自由特別支援学校に在籍している子どもの8割と言われている重度・重複障害と評価・診断されがちな子どもへの教育に関わる上で大切だと思っている考え方についてお話ししました。
重度・重複障害と評価・診断されがちな子どもは、常に介助を必要とする受動的な生活になってしまうため学習製無力感を感じやすくなり、周囲の大人は「この子は障害が重度だから◯◯デキナイよね」と評価し諦めてしまいがちです。
それでは、双方にとって負のスパイラルが起きてしまい、好ましくない状況になってしまいます。
「肢体不自由教育とは、子どもが◯◯したいという心を不自由にさせない教育」という先輩から教えられたことを具現化するために「デキルことを活かすという発想が大切」だとお話ししました。
そして、それを具現化する方法としてe-ATの活用があることをお伝えし、その事例動画を視聴してもらいました。
おじいちゃんに肩叩き
iPadでコミュニケーション
また、アクセシビリティスイッチ入力やiPadの画面タッチも難しい場合、視線入力を使うと良いケースが有ることも紹介しました。
touch_wavesでDJになる
視線入力で追いかけっこ
視線入力で絵を描く
描いた絵のアレンジ
また、e-ATを活用したスポーツへの参加の工夫についても紹介しました。
視線入力でボウリング
多様な入力方法で野球
最後には、コミュニケーション支援で大切にしたいことをお伝えして講義は終了。
コミュニケーション支援で大切にしたいこと
講義後、金森 克浩さんから送っていただいたリアクションペーパーには、伝えたかったことがだいたい伝わったようでホッとしました。
8月には別の大学(教育学部)での集中講義を依頼されていますので、その参考にしたいと思います。