サイト主のSamです。
福岡県福岡市で特別支援学校(肢体不自由)の教員をしています。
研究仲間である金森 克浩さん@日本福祉大学と伊藤 史人さん@島根大学に背中を押されて、このたびブログを始めることにしました。

1989(平成元)年4月、肢体不自由養護学校に赴任した時、先輩から「肢体不自由児とは肢(=手足)や体(=体幹、頭)を動かすことに不自由さがある子どもたちのことを言いますが、肢体不自由教育とは、子どもたちが『◯◯したい』と思う心を不自由にさせない教育です」ということを教わりました。
とは言え、手足や体を動かすことが不自由な子どもたちが『◯◯したい』と思うことを具現化することは至難の業でした。

1年目の夏休み前、その先輩から「これからの肢体不自由教育に必要なのはコンピュータです。よかったら勉強してみませんか?」と言って手渡されたのが、当時香川大学におられた中邑賢龍助教授が書かれた障害者のための小さなハイテクという本とMSXコンピュータでした。

タイトルに惹かれ貪るように本を読み、プログラムを組み、スイッチを作って、子どもたちに使ってもらいました。

すると、知的な理解力はあるにも関わらず、相手が聞き取りやすい声でしゃべることや相手が読み取りやすい文字を書くことが困難だった子どもが、得意な動作でスイッチに入力するだけで、コンピュータで文字をタイプし自分の意思を伝えることができたのです。

また、ほんのわずかしか手を動かせなかった子どもが、得意な動作でスイッチに入力するだけで、電動オモチャをON/OFFしたりコンピュータゲームで遊べるようになりました。

このように、障害による困難さのある子どもたちが「デキル」ことで学習や生活を豊かにするテクノロジーは、e-AT(electronic Assistive Technology=電子的支援技術)と呼ばれ、世界中で広く活用されています。

あれから30年...
これまでに得た知識やスキル、また、最新の情報についても書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
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