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特別支援学校(肢体不自由)には、声を出すことができない子どもや、声を出すことはできるけれど言葉を話すことができない(または、周囲の人が聞き取りづらい)子どもが在籍しています。
そういった音声表出が困難な子どもたちが朝の会で司会をする際、しゃべることができる子どもや教員が代わりにやっていた時代がありました。
1990年代、アメリカから「あらかじめ録音しておいた言葉をスイッチ1つでしゃべらせる」ことができる装置がやってきました。
その名もBIGmack
Mのマークでお馴染みのファーストフード店に行っても売っていませんが、録音も再生もとても簡単なので、多くの特別支援学校(当時は「養護学校」でしたが)に普及しました。
その数年後、いくつもの言葉を録音しておいて再生することができる装置も登場しました。
Step-by-Step Communicator、①Speak Easy、②Message Mate、③Chat Boxなどがその代表格でした。
同時期に、装置の表面に文字キーを配列しておき、文章を綴って装置に読み上げさせることで音声表出するタイプのものも登場しています。
トーキングエイドや⑤Canon Communicatorなどがその代表格です。
※2018年現在、①〜⑤は販売されていません。
上記のような【持ち運び可能な音声を出すための装置】を総称してVOCA(Voice Output Communication Aidsの略で「ヴォカ」と読みます)と言います。
日本語風に言うと「携帯型音声出力装置」とでも呼べばよいでしょうか。
VOCAが入手しやすくなると、障害があるために発話困難な子どもたちがそれらを使って朝の会の司会をする姿は、日本の多くの特別支援学校で見られるようになってきました。
iPadをはじめとしたタブレット型携帯情報端末が普及してきた2000年代半ば以降、VOCAとしての機能をもったアプリが登場し、VOCAに代わってタブレット型携帯情報端末を利用することが多くなってきているようです。
iPad/iPhoneで使えるVOCAアプリには、SoundingBoardvocacoと言ったアプリがありますが、現任校で最もよく使われているのがDropTalkです。

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2017年度に入学してきた小学部1年生のクラスでは、iPad版VOCAアプリDropTalkのスケジュールキャンバス機能を利用して作ったコンテンツを作って、発話困難な子どもたちが朝の会で司会をする時に利用しています。
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朝の会の司会をしている子どもたちの様子をYouTubeでご覧いただけるようにアップしています。
https://youtu.be/Wad1CSxtDEY
→指でタップしています。
https://youtu.be/4e9iQmYDz9c→Apple Pencilを使ってタップしています。
https://youtu.be/uXola4kGOug→指でタップしています。
このクラスには4人の児童が在籍しているため、4日に1度、朝の会や帰りの会の司会をする日直当番が回ってきます。
動画で紹介している2人の男子児童は、導入当初、担任の先生が手添えしながらiPad上のシンボルをタップして司会をしていましたが、回数を重ねるに連れてタップする場所の間違いが少なくなり、スムーズに司会ができるようになってきています。

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