2017年4月、22年ぶりに現任校に戻りました。
再赴任して真っ先に相談を受けたのが、小学4年生の男子K君の文字タイプについてでした。

K君は、文字や言葉の意味を理解しており、アニメやお笑い番組が好きで、自宅ではテレビを見る以外に、iPadでYouTube動画を見る(実際には、親兄弟に再生してもらう)ことを楽しみにしていました。
ただし、原因疾患による筋緊張のアンバランスがあり、不随意運動が顕著に現れるタイプの四肢麻痺のため、テレビやiPadの操作は誰かにやってもらわないといけない状況です。
聞き慣れた人であれば彼の発語が分かりますので、支援や介助が必要な時は家族を呼んでやってもらっていましたが、私も含め慣れない人はK君の発する言葉を聞き取ることは困難です。

2017年3月まではボイスキャリーペチャラというVOCAを利用して、文字をタイプして読み上げさせるという学習に取り組んでいたK君!
しかしながら、ペチャラ本体のキーボードにタイプしようとすると、不随意運動が発現するために、文字の打ち間違いが多く、とても時間がかかっていたそうです。
4年生になった4月に担任が変わり、その担任(前任校から一緒に赴任してきました)から「もっと楽な入力方法はないか」と相談を受けたことをきっかけに関わるようになりました。

不随意運動があるとは言え、K君は両手を意図的に動かすことはできました。
iPad Pro 12.9インチを教室に持って行き、iPadのアクセシビリティ機能にあるスイッチコントロール機能を利用して、外付けスイッチ2個による手動ハイライト(=Step Scanning)で文字入力する方法を見せてみたところ、「やりたい」と答えたK君!
それから、毎朝、クラスメイトが書いた給食メニューを見ながら文字をタイプして、朝の会で発表する係を担当してもらうことになりました。
180504-0001
その様子の動画がコチラです。
 ↓ ↓ ↓
170607小4iPadの手動ハイライトを利用して2個のスイッチで【メモ】に文字タイプ20170622_01#0066

170613小4年-iPadの手動ハイライトを利用して2個のスイッチで【メモ】に文字タイプ20170628_04#0076

4年生の一年間、ほぼ毎日タイピング練習をすることにより、文字をタイプする効率が上がっただけでなく、給食メニュー表にくり返し出てくる漢字を覚えるようになったK君...
5年生になった今年はハードルを上げていく予定です。

その第一弾は「音声読み上げも自分でやる」こと。
スイッチコントロールの下位メニューに【画面の読み上げ】項目がありますので、それを利用してタイプした文字も自分で操作して読み上げるようにしています。
 ↓ ↓ ↓
180418小5-iPadのスイッチコントロール手動ハイライトを利用して2個のスイッチで【メモ】アプリにタイプして読み上げさせる20180420_#0157

第二弾が始まったら、またお知らせします。

ちなみに、K君がスイッチコントロールで使っているインターフェイスは、米国AbleNet社のHook+(「フックプラス」と呼びます)です。