2013年に99ドルで購入できる視線入力装置The Eye Tribe(現在は販売されていません)が発売されたことをきっかけとして、視線入力環境がローコストで構築できるようになりました。
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注:いらすとやより

現任校では、視線入力装置を主に重度・重複障害児と呼ばれる子どもたちの自立活動の学習に利用しています。

肢体不自由児の中でも、肢体不自由の程度が重度で、かつ重度な知的障害を併せ持つ子どもたち(いわゆる重度・重複障害児)の中には、因果関係の気づき・理解を目指すことが学習課題として挙げられます。
人間は生後5ヶ月ぐらいになると握る動作ができるようになってきます。その時期に、鈴を握らせてみると「振ったら音が鳴る→鳴った音が心地よいので再び鈴を振る」といった行動を示します。
そのような因果関係の気づき・理解に繋がる経験が、興味・関心の拡大、意欲や能動性の向上、見聞きする力の発達、といったコミュニケーションの基礎となる力に繋がると言われています。

手足を動かすことに困難さのある肢体不自由児の場合、玩具などを握ったり触れたりすることが困難ですから、それに代わる方法としてスイッチやセンサーに入力して電動オモチャや家電品をON/OFFするといった学習課題を設定してきました。
しかし、スイッチやセンサーに入力することも困難な肢体不自由児も少なくありません。
そこで、視線入力装置と
Windowsパソコンを利用して、視線を動かすだけで遊べるゲームを楽しむという学習課題に取り組んでもらうようにしています。

現任校では、視線を動かすだけで遊べるパソコンゲームとして、島根大学の伊藤史人助教が開発したEyeMoTアプリをメインに使っています。
EyeMoTアプリは、EyeMoT 2DEyeMoT 3Dの2種類があります。
いずれも視線入力装置Tobii Eye Tracker 4Cに視線入力するだけでパソコンのマウスポインターを移動させるという視線マウスの機能を備えていますので、WindowsパソコンとTobii Eye Tracker 4Cさえあれば、すぐに使えて楽しめるアプリです。
EyeMoT 2Dには9種類のゲームが、また、 EyeMoT 3Dには5種類のゲームがあり、いずれも知的な理解力に応じた内容になっています。
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現任校の子どもたち(重度・重複障害)が、視線でEyeMoTアプリを楽しんでいる様子YouTubeチャンネルで紹介していますので、どうぞご覧ください。