重度・重複障害を含む肢体不自由児の多くは、「オモチャで遊びたい」「絵本を読みたい」と思っても、オモチャを操作したり絵本のページをめくることが困難です。
したがって、いつも誰かにオモチャを動かしてもらったり絵本を呼んでもらったりと言う受動的な活動になりがちです。

子どもが発達していく上で、能動的に外界に働きかけて遊ぶことはとても大切なことだと言われていますが、それができないとどうなるか?
当然、運動面でも知的機能面でも発達が遅れ、障害の無い子どもとの格差がどんどん広がっていきます。
「なんとかやってみるぞ」と思って手足や体を動かそうとしても失敗ばかり...
すると、「ボクにはできない」「いくら一生懸命やってもデキっこない」と言う諦めの気持ちがわいてきて、次第に意欲が低下してくると指摘する研究者もいるほどです。

だからこそ、失敗させない&あきらめさせない工夫が必要だと思っています。
それを可能にする手段の1つがe-AT(electronic-Assistive Technology)の活用ではないでしょうか?

ほんのわずかでも手足や体を動かすことができれば、その動作に反応するスイッチやセンサーを用いることで電動オモチャや家電品などを作動させて遊ぶことに繋がる例はたくさんあります。
しかし、それすら難しいほどに重度な肢体不自由児の場合、視線入力という仕組みは試す価値があると思っています。
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将来的には、文字をタイプしたりシンボルを選んで音声を出力したり、と言った意思表出手段として使えるようになってほしいのですが、いきなりパソコンに文字盤やシンボルを表示してやらせるというのは無謀です。
まずは、失敗しない遊びを仕組むことが大切だと思います。
それを可能にするのが、島根大学の伊藤史人さんが開発したEyeMoTアプリではないでしょうか。
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ローコスト視線入力装置を取り付けたパソコン(またはディスプレイ)の画面を見るだけで画像や音が変化するゲームEyeMoT...
EyeMoT 3Dはゲームが終わると、視線の軌跡もトレースしてくれますので評価にも繋がります。

現任校に赴任した約1年前、EyeMoTアプリを視線入力で楽しんでいる子どもたちの様子をYouTubeにアップしていますので、是非ご覧ください。

https://youtu.be/KaoFka6620A

https://youtu.be/faehtFbEmow

https://youtu.be/rbCcwh2x8aM