このブログに限らずYouTubeでもFacebookでも視線入力装置の活用に関するネタを紹介しているSamです(^^;
以前から視線入力装置はありましたが、とても高価なものでした。
Amazonで20,000円以下で購入できるTobii Eye Tracker 4Cが世に出て以来、視線入力に関する講習会が各地で開催されたりインターネット上で情報が公開されたりしたおかげで、日本の特別支援教育や療育の現場で視線入力が導入されるようになったように思います。
もともと視線入力装置は、ALS(=筋萎縮性側索硬化症)やSMA(=脊髄性筋萎縮症)といった筋疾患による運動障害のある方々が主に使っておられたテクノロジーです。
しかしながら、肢体不自由特別支援学校に在籍している肢体不自由児(様々な疾患・後遺症・事故等に起因する障害で、診断名も多岐にわたっています)への適用も効果があることが分かってきており、今後ますます導入が進むのではないかと思っています。
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そんな今日この頃…
視線入力装置とアプリを使った学習場面にだけ視線入力を利用しているケースが少なくないような気がしています。
特に、重度・重複障害と呼ばれる(運動障害や知的障害を併せ持ち、いずれも重度)子どもたちの学校生活において、そのことを感じるのです。
日本の特別支援学校には、自立活動という指導領域があります。
自立活動の目標〜特別支援学校学習指導要領から抜粋
個々の児童又は生徒が自立を目指し,障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識,技能,態度及び習慣を養い,もって心身の調和的発達の基盤を培う。
その指導内容は多岐に渡っています。
自立活動の内容〜特別支援学校学習指導要領から抜粋
  1. 健康の保持
    (1) 生活のリズムや生活習慣の形成に関すること。
    (2) 病気の状態の理解と生活管理に関すること。
    (3) 身体各部の状態の理解と養護に関すること。
    (4) 健康状態の維持・改善に関すること。
  2. 心理的な安定
    (1) 情緒の安定に関すること。
    (2) 状況の理解と変化への対応に関すること。
    (3) 障害による学習上又は生活上の困難を改善・克服する意欲に関すること。
  3. 人間関係の形成
    (1) 他者とのかかわりの基礎に関すること。
    (2) 他者の意図や感情の理解に関すること。
    (3) 自己の理解と行動の調整に関すること。
    (4) 集団への参加の基礎に関すること。
  4. 環境の把握
    (1) 保有する感覚の活用に関すること。
    (2) 感覚や認知の特性への対応に関すること。
    (3) 感覚の補助及び代行手段の活用に関すること。
    (4) 感覚を総合的に活用した周囲の状況の把握に関すること。
    (5) 認知や行動の手掛かりとなる概念の形成に関すること。
  5. 身体の動き
    (1) 姿勢と運動・動作の基本的技能に関すること。
    (2) 姿勢保持と運動・動作の補助的手段の活用に関すること。
    (3) 日常生活に必要な基本動作に関すること。
    (4) 身体の移動能力に関すること。
    (5) 作業に必要な動作と円滑な遂行に関すること。
  6. コミュニケーション
    (1) コミュニケーションの基礎的能力に関すること。
    (2) 言語の受容と表出に関すること。
    (3) 言語の形成と活用に関すること。
    (4) コミュニケーション手段の選択と活用に関すること。
    (5) 状況に応じたコミュニケーションに関すること。
同じ「特別支援学校」と呼ばれる学校でも障害種によって実際に展開されている内容には違いがあります。
日本の肢体不自由特別支援学校に在籍している子どもたちの多くは重度・重複障害児だと言われていますので、学校生活自体が自立活動の学習であると言っても過言ではないでしょう。
もちろん、時間割には『自立活動』の授業(現任校では、うごきの学習・水泳学習・感覚学習・個別課題といった名称で呼ばれている授業があります)はありますから、その時間は授業名に応じた内容を子どもたちは学習しています。
しかし、学習指導要領に明示されている自立活動の目標から考えた時、学校生活全般にわたって、その目標を意識した関わりや教育的支援をしていかなければならないと思っています。
つまり、自立活動の授業の時だけ「コミュニケーション」や「身体の動き」などのことを考えるのではなく、学校生活全般にわたって「コミュニケーション」や「身体の動き」などを考えた関わりや教育的支援が必要だと思うのです。

日頃から視線入力を活用することは難しいことではありません。
私たちの生活は選択の連続です。
朝起きて着る服を選ぶ、食事する時にどれから食べるかを選ぶ、移動時のルートを選ぶ、ヒマな時間にやることを選ぶ、などなど、選択する機会は多いと思います。
そういう選択する機会に視線入力は使えるのでは?
視線入力と硬く書くと躊躇するかもしれませんが、視線で選んでもらうと考えれば簡単なことです。
子どもの目の前に選択肢を提示して選んでもらうことが、すなわち視線入力なのです。
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提示した2冊の絵本の中から視線で選んでもらっている様子

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机に貼った絵カード(給食メニュー)の中から視線で選んでもらっている様子

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視線ボードに貼った4枚の写真カードの中から学習したい内容を視線で選んでもらっている様子

写真や絵を利用したカードを提示して、その中から選んでもらうというローテクエイドはパソコンとプリンターとラミネーターがあれば、容易に作れると思います。
カードの大きさは、子どもが分かりやすいと思われるサイズにする必要がありますので、子どもと相談して作っていくと良いなと思います。

また、カードが見やすいように背景となる支援者の服の色や柄にもこだわりたいものです。
白いカードを提示するのに白い服だとコントラストがはっきりしないため選びにくいかもしれません。
2冊の絵本を提示して選んでもらっている写真の先生は、「子どもが選ぶ際に見やすいように黒色やグレー色で、柄のついてない服を選んで着るようにしています」とおっしゃっていて素晴らしいなぁと思いました。
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子どもが選んだことを確認することも必要だと思います。

発話困難かつ重度の上肢運動障害のある子どもにとって、「見たものが提示される」「見たことが次にやること」という視線入力を利用したやり取りはコミュニケーションの練習そのものだと思うのです。
そのの積み重ねが、視線入力装置を利用したパソコンゲームやアプリ(知育・学習・VOCA)への入力の基礎力となるのではないかと思っているSamです。